「Pharmaceutical Executive」誌が毎年に選出するトップ50製薬企業の状況を参考にし、ここ数年間における各製薬企業の処方薬販売収入およびその研究開発への投入の割合を考察すると、企業の将来市場に対する予想がうかがえる。全体を見れば、処方薬の販売は穏やかな状況にあり、グローバルな不景気があったものの、製薬企業の研究開発への投入がやや安定化し、企業が楽観的に将来を予測することが示されている。

製薬業界の見本としてのトップ10企業は、処方薬の販売収入がトップ50企業の販売収入の5割を占め、研究開発への投入額がトップ50企業の総投入額の6割を占めている。ランキングを見れば、ファイザー、ノバルティス、メルク、サノフィ、ロッシュ、GSK、アストラゼネカ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、アボット とイーライリリーがトップ10になっている。また、アボット社から独立したアッヴィ社はアボット社の替わりになって、リンキング入りした。ファイザー社は長年にNO1の位置を占めてきたが、2014年はノバルティス社がNO1になった。研究開発への投入を見れば、巨大企業はいずれも未来市場を楽観的に予測し、研究開発投入額の比率もトップ50企業の平均値より高い。　研究開発投入額の割合から見れば、ずっと12%から28%までの間に変動していた。2010年の研究開発投入額の割合を見れば、メルク社の27.6%は最大値で、アストラゼネカ社の12.6%は最小値だった。2011年、ロッシュ社の22.5%は最大値で、アストラゼネカ社の15%は最小値だった。2012年、イーライリリー社の27.4%は最大値で、アボット社の12.5%は最小値だった。2013年、イーライリリー社の26.4%は最大値で、ファイザー社の13.9%は最小値だった。データを見ると、アストラゼネカ社は二回も研究開発投入ランキングの最下位を占めたことがわかった。それに加えて、目玉商品の医薬品が何品目も特許期限が切れたことから、2014年4月にファイザー社に買収されそうになったことさえあった。

（出所：医薬経済報2014-07-09）